自己表現と、相手の表現に集中して相手を受けとめることの反復が、コミュニケーションを築きます。
『リラクゼーション』では、講師である迦樓羅舎(かるらしゃ)代表で、俳優の丹下一さんとともに、深い集中力が生まれ、ニュートラルな状態になれるリラクゼーションを体験しました。
■和が、場の空気をほぐす
前回同様、受講者の方々がこの時間だけのニックネームを自分につけることから始めました。「『表現という枠組みでのリラクゼーション』がテーマなので、ちまたにあふれるマッサージとは異なった、複数の人数で楽しむリラクゼーションをしましょう」と丹下さん。手拍子とリズムに合わせ、一人が自分のニックネームと誰か一人のニックネームを言い、ニックネームを呼ばれた人が順次同じことを繰り返していく、というゲームで盛り上がりました。その後は懐かしいいす取りゲーム。お互いにニックネームを覚えると同時に、自分との共通項がある受講者がいることも分かって、徐々に場の雰囲気が和らいでいきました。
■相手との触れ合いが、心身をほぐす
伸びや前屈、足首や膝のマッサージなどの「気持ちの良いストレッチ」で体が温まったところで、本格的にリラクゼーションへ。ペアになり、一人残った人が体のどこか一部分を言葉で指示し、ペアは指示された箇所どうしを合わせます。これをいろいろ変えて続けながら、人と人とが触れ合う感触をつかみます。次にペアで向かい合い両掌を付け、一方がBGMに乗って自由に動き、もう一方は掌を付けたままその動きについていくという発展にチャレンジ。動く人はスピードや動きの面で相手に気を配り、動きについていく人は相手を全面的に信頼してついていくことが求められます。複数のペアは徐々に一つにつながり、先頭の動きに身を委ね、会場をゆっくりとムカデのように練り歩き始めました。丹下さんによると、呼吸が緩くなり、丹田が締まって心身に「気」が回ったこの状態こそ、人からエネルギーをもらうことで生じたリラックス感なのだそうです。
さらに、前屈と背筋を座って行う柔軟体操へ。ペアになり、一方が座りもう一方はその背中を膝で支えながら後ろで立ちます。座っている人が息を吸って吐きながら仰向けに倒れて合図とともに一気に脱力、後ろの人はその体を受け止めます。今までのリラクゼーションを通して互いに信頼感が生まれたから、安心して一気に脱力できるのです。
人は人と触れ合うことでリラックスできるということを、受講者のみなさんの表情が裏付けていました。
■深いリラックスが、自分自身をリフレッシュする
呼吸で息を吐く時に体の中の老廃物も吐き出すが、全部は吐き出せない。今回のようなリラクゼーションによって、体に残った老廃物を吐き出すことで、新しく息を吹き込むときに体が活性化してリラックスにつながる。リラクゼーションで力が抜けて気持ちが良くなる理由を、丹下さんはそう説明されました。
また、家でリラクゼーションを試してみたいという受講者の方に、上下に引っ張られると同時に背中を押されているような感覚を自分の中に持つよう心がけて、というアドバイス。
自分の中から余分なものが消えて集中力が生まれているので、リラックスした後に熟睡してもパッと目が覚めるとのこと。受講者のみなさんも講座の翌日、清々しい朝を迎えられたのではないでしょうか。