『私の視点』でおなじみ、ニューズウィーク編集主幹の藤田正美さんを講師に迎えて行われた「ちょっと日本を考える」。日本社会の歪みをどう捉え、それに対して私たちができることは何なのか。前半は藤田さんの講義、後半は全体でディスカッションという二部構成で行われました。
■参加された方々
藤田さんのお話を直接うかがいたいと参加された商学部の学生の方、国際女性ビジネス会議に参加されてこの会を知った出版関係の方、かつて議員会館でアルバイト経験もある方、「ちょっと日本を考える」というタイトルに共鳴されてご参加された戦前世代の方など、憂える日本に対して自分たちができることは何なのか、積極的な意識をお持ちの方々が集まってくださいました。
■第1部:藤田さんが語る「日本の現状」とは?
「日本の現状については、残念ながら、悲観的にとらえています」と藤田さん。その原因のひとつは「人口の減少」。たとえば、“家の大掃除屋”などというサービスは、昔はそういうことにお金を使うとは考えられなかったもの。そういったサービスが増え、それにお金が使える豊かな生活になったとはいえ、やはり人口が増えないのならば、経済成長の理由はないということ。
また、「小泉内閣の改革は進んでいるのか」というテーマについて言及された際には、「まだ信用できるかな」というお考えでした。その理由は、郵政関連法をなんとか成立させたこと、経済成長率が5.7%と(まだ)高いことなど。支持率が下がれば、改革の実現も難しくなるわけですが、今となっては、田中真紀子氏更迭も、是認されるムードにあるのではないか、という事情も加わります。
ただし、最近、多少回復傾向にあると言われる支持率ですが、たとえば、9月末に予定されていると言われる内閣改造で、派閥力学による強引人事が押し通された場合には、支持率低下となるでしょう。しかし、(変人)小泉総理自身による議会解散の可能性もゼロではない、新党結成もありえるかもしれない、との可能性も示唆。また、アメリカ株安の影響、日本でのデフレ現象などによる日本の経済の影響についても詳しく語ってくださいました。景気悪化も、支持率低下へとつながるからです。
■第2部:全体でのディスカッション
「若い人が気の毒。1945年以来ずっと同じ。時代は変わるけれど、役人は同じ」というご意見から、話題が発展。教育がなってないから人間がなってない、だから政治家もダメ、というご意見も。「でも、そういう政治家を出しているのは我々だ、という責任は問うべき時期にきていると思うのです」と藤田さん。
「政治家が政治屋になっている。国会議員は地元優先の利権主義になってしまう」という問題に対しては、藤田さんから斬新なアイデアが。「二院制がうまくいってない。衆議院は地元優先でもOK、でも参議院は定数を50人くらいまで減らす。ただし国政を担える力のある人を各県一人ずつ選ぶというので良いと思う」。現状では、なかなか地方自治が発展しないという意見も出されました。
この後、話題は「個」と「社会全体」の話へ。日本では、「個人」は“看板”なしでの仕事は難しい。日本人はもっと個として自立したほうがいい。でも、多様性が認められるようになるためには、どうすれば良いのか。藤田さんから出されたヒントは「もし、ベッカム・ヘアの人がいたら、その好き嫌い、似合う似合わないは別にして、『別にいいじゃない』と言える姿勢があれば良いのでは」。
この他にも、ペイオフ解禁、中国、北朝鮮、移民受け入れ、ジェンダー問題など、さまざまなテーマが出され、活発なディスカッションが行われました。
最後に「個が全体を動かすということは不可能に思えるけれど、自分が思う通りに、まず素直に行動してみるのです。がんばりましょう!」と藤田さんが締めくくられ、閉会となりました。
■講義後の感想
- 直接お話することで得られるパワーの凄さを実感しました。
- テーマが多岐に渡りましたが、参加者それぞれが気になるテーマについて話せたので、良かったと思います。
- 個人が全体を動かすことなんて、と気負ったり不安になったこともありましたが、 今回の議論に参加して、歴史は結局そういう個人が(後から見たら)全体の動きを作っていたわけですし、やっぱりあきらめるのも気負いすぎるのもおかしいんだなぁというところに落ち着きました。ありがとうございました。
関連情報
ewomanコンテンツ 藤田正美さん
『私の視点』
