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私の視点

イラク攻撃、「大義」の行方

藤田正美(ふじた・まさよし)
『ニューズウィーク日本版』編集主幹

2003年6月14日

イラク戦争が終わって2カ月。いまだにイラクが大量破壊兵器を保有していたという証拠が見つかりません。国連の査察団が調査していたときよりも、徹底した(イラク側の妨害を受けない)捜索をしているはずなのに証拠が出てこないということは、結局、フセイン大統領が主張していたように、大量破壊兵器はなかったのではないか、という見方が強まっています。

これで、アメリカのブッシュ大統領の支持率は下がり、ブッシュとともに積極的にイラク攻撃に参加したイギリスのブレア首相の立場は大変苦しくなっています。場合によっては辞任せざるをえなくなるかもしれません。今回の戦争を多数が支持したのは、アメリカだけでした。イギリスもスペインも国内的には反対が多かったのですが、それらの国の政府はアメリカ支持の方針を押し通しました。

「大義」として掲げた大量破壊兵器が見つからないということになったら、アメリカは強引に自分たちが「危険な国」として認めた政権を倒したということになります。アメリカに対する反発も強くなるでしょう。アメリカの強硬姿勢に「理解を示した」各国の指導者も、今後の行動には慎重にならざるを得ません。

安堵するイラク周辺国

ただ皮肉なことに、フセイン政権がいなくなったことは、周辺諸国も含めて世界のほとんどの国が安堵していることは事実です。埋蔵量世界第2位の油田の上にどっかりと座り込んだ独裁者ほど、始末の悪いものはないからです。しかもフセイン大統領は、周辺諸国にとって過去20年間にわたって「脅威」でした。イランとは8年間にわたって戦争をし、クウェートを侵略し、そして国内的には少数民族であるクルド人や反体制派を弾圧してきたのです。そしてアラブがイスラエルと融和しようというときには、必ず反イスラエルを叫び、過激派の後ろ盾となってきました。

アメリカが推し進める中東和平の「ロードマップ」にしても、フセイン政権が存続していたら実現はほとんど不可能だったと思います(もちろんイスラエルのシャロン政権の強硬な態度も障害になっていますが)。だからこそ、アメリカは何としてもフセインを倒したかったのだろうと思います。そのための理由が、国連決議違反となるイラクの大量破壊兵器でした。

査察に全面協力しなかったフセインの意図は?

それにしても、フセイン大統領はなぜ、国連査察団を追い出したり、今回の査察に関しても全面協力しなかったのでしょうか(かなり最後の段階になって全面協力しましたが、それまでは科学者に対するインタビューを妨害したり、書類を出し渋ったりしてブリクス委員長の不興を買っていたことは事実です)。これは説明が非常につきにくい行為でした。大量破壊兵器を保有しているという証拠はなくても、疑惑を払拭するには、イラクは保有していないという証拠を提出する必要があったはずです。まして国際的に禁止されている化学兵器を使った「前科」があり、核兵器を開発しようとした事実もある政権ですから、今は保有もしていないし、開発しようともしていないという「事実」を証明しなければ容易に世界を納得させられなかったはずです。

フセイン政権を打倒するつもりであるというアメリカの「決意」を、フセインは読み誤ったのでしょうか。90年にクウェートに侵攻したときも、フセインはアメリカは何もしないだろうと考えていたといいます。アメリカは民主主義国であり、国民は血を流すことを嫌うから、当時のブッシュ(父)政権は何もできないと思ったというのです。そして今回も世界の多くの国がアメリカに対して批判的であるから、攻撃はできないだろうと考えたのでしょうか。それにアラブの盟主でありたいとするフセイン大統領の「野心」からすれば、とてもアメリカに屈服することはできないと思ったのかもしれません。

独裁政権の困るところは、実はこういうところにあります。国民の犠牲を気にしないからです。あれだけ経済制裁を受け、国民の生活は決して楽ではなかったはずなのに、あの大統領宮殿の金ずくめは異様でした。近代国家で権力者があのような生活をしているケースはほとんどないはずです。

たしかにアメリカが大量破壊兵器の証拠として提出した資料はあいまいでした。そして戦争が終わっても大量破壊兵器は見つかっていません。しかしフセイン政権がもっと早く査察を受け入れ、積極的に持っていないことをアピールしていたら、攻撃されなくて済んだかもしれません。権力者の「野心」とか「保身」で国民が犠牲になったとすれば(歴史上そういったことはたくさんあります)、それはあまりにも残念なことです。

保有を明言した北朝鮮の場合

そうなると核兵器を保有していることを明言した北朝鮮の場合はどうなるのでしょうか。先の日韓首脳会談でも平和的解決が強調されましたが、それは第1段階であり、そこでうまく行かなければいろいろ圧力をかけなければならなくなるでしょう。最悪の場合、武力攻撃もありうるかもしれません。北朝鮮の場合はれっきとした「証拠」があるわけですから、攻撃の大義名分は成り立ってしまいます。イラク攻撃では、大義があやふやだとして反対論が強かったのですが、北朝鮮については判断が非常に難しくなります。しかし判断しなければならない日が遠からず来る、という覚悟だけはしておく必要がありそうです。

関連リンク

「『危ない』指導者」(「私の視点」2003年4月12日)>読む

「意のままにならない」(「私の視点」2003年4月5日)>読む

「イラク戦争『後』」(「私の視点」2003年3月22日)>読む

「もしイラク攻撃が行われたら」(「私の視点」2002年11月9日)>読む



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