三歩進んで、三歩下がる ―小泉首相の靖国参拝―(2003年1月18日)
ewomanの「靖国」に関するコラムを拝読いたしました。関連する過去のコラムも拝見し、大変勉強になりました。わたしのつたない意見を聞いていただきたくメールいたします。
靖国参拝問題についてのわたしの個人的な意見としましては、反対よりも賛成という重いのほうがやや強いのです。理由は以下のとおりです。
最近、仕事の関係で、第二次世界大戦に実際に出兵した方々のお話を聞くことが多くあります。そういった方々はよく「仲間は『靖国神社で会おう』と言いながら死んでいった」とおっしゃいます。
そう言って戦争で亡くなった方々にとっては、靖国神社の存在そのものが心のよすがだったのだと思います。
彼らは靖国神社がその後問題になることなど知るはずもなく、ただ必死に国を守ってくれたのだということを思うと、今日の平和に心より感謝します。靖国神社参拝に反対、とはとても言えません。
もちろん藤田さんのように、だからこそ靖国神社を許せない、という気持ちもありますが、それは靖国神社に責任があるのではなく、「戦争の責任は誰にあるのか」ということが問題になってくるのだと思います。
そこでわたしは、政府レベルで論議するのではなく、まずは元兵士、遺族の方を中心に考えたうえで、外交上の問題を踏まえながら、論議するべきではないでしょうか? 元兵士の意見を求めるための議論の場を国が設け、あの時代に戦争にかかわった方々がご存命のうちに、この靖国問題が解決されることを強く希望します。
ある元兵士の方は「A級戦犯の合祀(ごうし)を排除すればいい」と言い、また別の元兵士の方は「敗戦後、あるA級戦犯の人は、病院で入院患者一人ひとりにわびていた。しかし、あの混乱の中で誰が正しい判断ができただろうか」とおっしゃいました。元兵士の方々の中にもさまざまな意見があります。すでにご高齢でもあり物理的に難しい問題ですが、元気な方々もまだいらっしゃいます。
外交上の問題ももちろん重要ですが、まずは国家内での論議が重要なのではないでしょうか? (匿名)
東京裁判の判決は、あくまで戦勝国が下したもので、敗戦国には敗戦国の言い分がある。いかにA級戦犯といえども、死んで冥界へ入ったのちは、現世での罪業はすべて許されている。日本には古来、そういう精神風土がある。
以上のようなことを、日本の総理大臣は、国際的な公の場で一度は言うべきではないでしょうか。
それによってこうむる外交上の、あるいは経済上の不利益は、甘んじて受けるべきだと思うのです。それが国民に支持されるかどうかは、どれだけ為政者が信頼されているか、それにかかっているように思います。
それだけの覚悟もないのに、コソコソと靖国神社へ参ったりするのは、英霊に対して無礼である!
以上は、反語的な言い回しにすぎませんし、反語的にしても、度が過ぎた悪ふざけ、と読めるかもしれません。
最近、歴史の本で、大正末期から開戦直前ぐらいまでの事象を追っていて、漠然と思うことがあります。もちろん、集合的無意識のレベルでの話でなのですが、当時の指導者は、昭和天皇も含めて、負けることを承知の上で戦争に踏み切ったのではないでしょうか? 欧米に対する、近代化の百年のギャップを、一挙に挽回する手段として。
21世紀初頭の日本の総理大臣、小泉純一郎氏の、言動に漂うストイシズムは、彼の祖父や父親の世代が心の奥底に隠していた無意識的な破滅衝動を、今もわずかに残しているような気がします。(秀章)
小泉首相が靖国神社を参拝したことを議論する前に、日本人はもう少しきちんと誇りを持つべきだと思います。
日本人の過去をいつまでも非難するお隣の国の人々の顔色を伺ってばかりいるから、相手はいつまでも何かあると文句を言う……、戦争責任を金で償い、償えと言う……。日本は中国へいったいいくら貢いでいるのでしょう。
御礼を言われず、文句ばかり言われて、中国のメール友だちは、日本からの援助があることは少しも知らなくて、わたしがそれを知らせて吃驚(きっきょう)しているくらいです。同じことを欧米の白人の国がやっても一切文句を言わない……。同じアジアの国だから、黄色人種だからこんなに文句を言うのでしょうか?
小泉首相が靖国神社を参拝したことを日本人は黙って見ていてもよいと思っています。あの戦争は、アメリカに仕掛けられた戦争であるとの意見もあるのだから……(最近のイラクとアメリカを見ていると、日本がイラクにダブって見えます)。
藤田正美さんにお願いです。
靖国神社の横の遊就館に何も考えずに行ってきてください。わたしは、多くの兵隊さんの写真の中に看護婦さんの写真を見つけ、そして、彼女の遺書を読んで何も言葉にならなくて、静かに涙がこぼれました。その上、戦争未亡人の切ない思いを知り、心が痛かった……。1948年生まれで、わたしよりも10歳若い藤田正美さんは戦争を経験されていません
ぜひ、遊就館で、むかしの日本の何も知らないひたむきな若者の心や、当時の女の人たちの思いを知ってください。お願いします。その上で、靖国の問題を話していただけたら……、と思いました。(dori)