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動いた時にキレイに見える服 ―チームプレーで発揮されたマネジメント能力
発表したブランド名は「Bulan Pulau(ブーラン・プラウ)」。インドネシア語で「月の島」という意味。月が日々刻々と姿形を変えるように、人それぞれの個性や美しさも違う。そんな個性や美しさを大切にしたい、という気持ちがブランド名に込められているという。
これまで、健常者が直立不動の状態で着て、しわ1本ないものが、美しい洋服とされていました。でも、私たちは毎日体を動かしてますよね。まっすぐに立っている時間なんてほんのわずかです。だったら動きから生まれるデザインがあると思うんです。「動いた時にきれいに見える服」ですね。
コレクション参加後は、ファッションショーにも積極的に参加するようにしました。各地の障害者と交流しながらのショーも。ショーではモデルとして、高齢者、車イスに乗る障害者、妊婦、カップルなど多彩なモデルに舞台に上がっていただきます。小さなショーをしたり展示をしたりしながら、3000件以上のアンケートをとっていったんです。それがヒントとなって服ができ、みんなで一緒に服を作っている気持ちが生まれました。
私はデザイナーの枠にとどまらず、いろんなところに関わっていたいんです。障害者の人がデザインしてもいいと思うし、職業訓練みたいな場所の提供もできるかもしれない。そうやって、チームを組んだりしながらやっていけば、いろんな可能性が出てくると思っています。
モデル・コレクションを見た人たち。そういった人たちと一緒になってブランドを作り上げてきた井崎さんは自然にマネジメント能力をもっていたようだ。2001年にはもう一つ大きな賞を受賞する。
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