「東京都のHarukawhiteさん」から、「日銀の量的緩和について、今までの流れを含めて詳しく教えてほしい」という投稿がありました。
しきりにニュースになっている割には、そもそもどういうものかの解説がないのですね。これがマスコミの困ったところなのですが。では、基礎から説明しましょう。
日銀対政治家のバトルになっているが
経済が回復基調を強めるにしたがって、「日本銀行は量的緩和政策の解除を検討」というニュースが出るようになりました。これに対して小泉首相は、「量的緩和は時期尚早」と発言して、日銀の量的緩和解除をやめさせようとしています。竹中総務大臣も、解除を牽制する発言をしています。
あくまでも来年春には量的緩和を解除したいという日銀と、景気への悪影響を心配する政治家。「物価の番人」を自負する日銀としては、量的緩和を継続すると、バブルを再発させることになるのではないかと警戒しています。これに対して政治家は、景気がよくなることを望んでいます。本音で言えば、「少しくらいバブルになったって、いいじゃないか」というものです。とりわけ、来年度からは減税を取りやめるという形での増税になりますからね。増税で景気回復が腰折れしては政治責任。日銀が、景気回復の後押しを続けてほしいと願っているのです。
では、そもそも、この量的緩和とは、どういうことなのでしょうか。
日銀とは、どんな銀行?
このテーマを理解するためには、そもそも日銀とはどんな仕事をしているのか、そこから始めないといけませんね。日銀は、「銀行の銀行」といわれます。私たちは日銀と取引できません。一般の銀行が取引する相手が、日銀なのです。
私たちが銀行に預金口座を持っているように、一般の銀行も日銀に口座を持っています。ただし、これは利子がつかない当座預金口座です。
一般の銀行は、いつもある程度の現金を日銀の当座預金口座に入れてあります。決済に必要だからです。たとえばあなたが、A銀行からB銀行に現金を振り込むとします。このときA銀行は、わざわざ現金をB銀行に送ったりしませんね。実際には、日銀にあるA銀行の口座から、日銀にあるB銀行の口座へとお金が移動するだけなのです。銀行間の資金移動に、日銀の口座が活用されるのです。
日銀は、日本の金利全体のコントロールもしています。一般の銀行が日銀から資金を借りるときの金利を「公定歩合」といいますが、この公定歩合を決めることで、全体の金利をコントロールしているのです。
公定歩合を低くすれば、……
|