「三位一体の改革」と「義務教育費国庫負担」との関係は?
「大分県の明美さん」から、「義務教育費国庫負担を減らすことになぜ多くの自治体が賛成しているのか?」という質問をいただきました。これについて、2回に分けてお答えしましょう。
「義務教育費国庫負担」は決着したが
小・中学校の子どもたちの教育は、国が責任を持つのか、子どもたちが住んでいる地方自治体が責任を持つのか。これが問われたのが、「義務教育費国庫負担」をめぐる国と地方の綱引きでした。
「義務教育費国庫負担」とは、義務教育段階の小・中学校の教職員の給与の半分を国が負担する仕組みのことです。
小泉内閣が進める「三位一体の改革」の一環として、去年11月、国が負担する「義務教育費」を減らし、その分のお金を都道府県が自由に使えるようにする方針が打ち出されました。これが、日本の教育界全体を巻き込む大論争に発展したのです。
結局、先月末、国の負担の割合を2分の1から3分の1に減らし、その分のお金8500億円の税源が、国から都道府県に移譲されることで決着しました。
このニュースを理解するためには、小泉内閣の進める「三位一体の改革」と、日本の教育制度の両方がわかっていないといけませんね。そこで今回は、「三位一体の改革」のおさらいから始めましょう。
「三位一体の改革」とは?
「三位一体」は「さんい・いったい」ではありませんね。「さんみ・いったい」と読みます。もともとはキリスト教の用語です。
「神と子と聖霊」の3つは、それぞれが別々のように見えるが、本質はひとつのものだという考え方です。「子」とは、「神の子」であるキリストのことです。
アメリカのニューヨークに「トリニティ教会」がありますが、この「トリニティ」が三位一体のこと。「三位一体教会」という意味で、この名前の教会は、キリスト教圏には各地にあります。
おっと、思わず宗教解説へと話がそれるところでしたね。この「三位一体」という言葉は、そこから転じて、……
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